切り口は面白いのだが。
というこの本。
第二次大戦でナチスドイツに占領されたパリのホテル・リッツを描いた話。
ホテル・リッツは19世紀後半、ちょうどフランスがドレフュス事件で揺れている頃に開業したのだが、その19世紀末の世紀の転換期に、それまでの旧弊な古い世代から新しい世代の芸術家たちの時代へと移り変わっていくなかで芸術家たちを集め、第一次大戦後の20年代には戦勝国アメリカの富裕層や「失われた世代」の作家たちを集める象徴的な場所になっていたという。
で、第二次大戦でフランス、というかパリがドイツの占領下に置かれると(南部はヴィシー政府の支配下)、ホテルや貴族の邸宅などはドイツ軍に接収されたものもあったりしたのだが、リッツはオーナーがスイスという中立国の人間だったこともあり、また接収を免れるためか、そのまま営業を続けていたという。それでゲーリングがスイートに滞在したりしていた一方で、ホテルのスタッフはひそかにレジスタンスや反ヒトラー運動を支援していたという。またドイツ占領下でリッツの常連だったフランス人たちがどういう道を選んだかというあたりも描かれている。まあこれはよく言われているのだが、ドイツ占領下でフランス人がみんなナチスに対する抵抗運動に加わっていたというような話はデタラメというか、戦後に作られた神話だし、ドイツに友好的な人や協力していた人もいたわけで、パリ解放後にそういう人たちが見せしめのように罰せられたりしたのだが。
一方でパリ解放を目指す連合国側では、例によって例のごとくトラブルメーカーなド・ゴールと連合国首脳(というかアメリカとイギリス)との溝が深まっていたり。執念深いド・ゴールはその時の恨みを忘れず、イギリスを仲間外れにして現在のEUのもとを作ったんだよな。という経緯からすると、イギリスがEU脱退を決めたというのも別に驚く話でもないというか。
またパリに1番乗りを目指しての従軍記者の先陣争いがあったり。ヘミングウェイがパリに乗り込んで真っ先にリッツを「解放」したという話は有名だが、その裏にわりとえぐい妻やキャパへの嫉妬というか、功名争いがあったという。
ところでですね、この本、ドイツ国防軍のアプヴェーア長官ヴィルヘルム・カナリスのことをイギリスの二重スパイと書いているんだが、え? そんな話、ありましたっけ? というかドイツ軍とナチスはイコールではないし、確かにカナリスは反ナチス、反ヒトラー派で結局それで最後は失脚・処刑されてはいるが、だからと言って別に親英というわけでもなかったと思うが。大戦末期になると反ヒトラー派がヒトラー暗殺計画とか、ひそかにイギリスに打診して戦争終結の道を探るとか、そういうことをやっていたが、二重スパイっていうとちょっと違うのでは。そりゃこの時期のイギリスは、二重スパイでも三重スパイでもうろうろしてましたけどさ(いや、それって)。しかしカナリスがイギリスの二重スパイというのは、え? ソースは? という。
あ、あと一方でココ・シャネルがドイツのスパイだったのかどうか疑問というような書き方がされていたが、こっちの方はアプヴェーアのエージェントだったっていう話じゃなかったかなあ。
というあたりとか、他にもちょっと記述が疑問なところがいくつかあったのだが、まあ面白かったです。
というわけで今日はこのあたりで。
第二次大戦でナチスドイツに占領されたパリのホテル・リッツを描いた話。
ホテル・リッツは19世紀後半、ちょうどフランスがドレフュス事件で揺れている頃に開業したのだが、その19世紀末の世紀の転換期に、それまでの旧弊な古い世代から新しい世代の芸術家たちの時代へと移り変わっていくなかで芸術家たちを集め、第一次大戦後の20年代には戦勝国アメリカの富裕層や「失われた世代」の作家たちを集める象徴的な場所になっていたという。
で、第二次大戦でフランス、というかパリがドイツの占領下に置かれると(南部はヴィシー政府の支配下)、ホテルや貴族の邸宅などはドイツ軍に接収されたものもあったりしたのだが、リッツはオーナーがスイスという中立国の人間だったこともあり、また接収を免れるためか、そのまま営業を続けていたという。それでゲーリングがスイートに滞在したりしていた一方で、ホテルのスタッフはひそかにレジスタンスや反ヒトラー運動を支援していたという。またドイツ占領下でリッツの常連だったフランス人たちがどういう道を選んだかというあたりも描かれている。まあこれはよく言われているのだが、ドイツ占領下でフランス人がみんなナチスに対する抵抗運動に加わっていたというような話はデタラメというか、戦後に作られた神話だし、ドイツに友好的な人や協力していた人もいたわけで、パリ解放後にそういう人たちが見せしめのように罰せられたりしたのだが。
一方でパリ解放を目指す連合国側では、例によって例のごとくトラブルメーカーなド・ゴールと連合国首脳(というかアメリカとイギリス)との溝が深まっていたり。執念深いド・ゴールはその時の恨みを忘れず、イギリスを仲間外れにして現在のEUのもとを作ったんだよな。という経緯からすると、イギリスがEU脱退を決めたというのも別に驚く話でもないというか。
またパリに1番乗りを目指しての従軍記者の先陣争いがあったり。ヘミングウェイがパリに乗り込んで真っ先にリッツを「解放」したという話は有名だが、その裏にわりとえぐい妻やキャパへの嫉妬というか、功名争いがあったという。
ところでですね、この本、ドイツ国防軍のアプヴェーア長官ヴィルヘルム・カナリスのことをイギリスの二重スパイと書いているんだが、え? そんな話、ありましたっけ? というかドイツ軍とナチスはイコールではないし、確かにカナリスは反ナチス、反ヒトラー派で結局それで最後は失脚・処刑されてはいるが、だからと言って別に親英というわけでもなかったと思うが。大戦末期になると反ヒトラー派がヒトラー暗殺計画とか、ひそかにイギリスに打診して戦争終結の道を探るとか、そういうことをやっていたが、二重スパイっていうとちょっと違うのでは。そりゃこの時期のイギリスは、二重スパイでも三重スパイでもうろうろしてましたけどさ(いや、それって)。しかしカナリスがイギリスの二重スパイというのは、え? ソースは? という。
あ、あと一方でココ・シャネルがドイツのスパイだったのかどうか疑問というような書き方がされていたが、こっちの方はアプヴェーアのエージェントだったっていう話じゃなかったかなあ。
というあたりとか、他にもちょっと記述が疑問なところがいくつかあったのだが、まあ面白かったです。
というわけで今日はこのあたりで。


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