あれ?

邦訳の方が厚くてでかいような気が(そういうこともある)。


サザビーズで朝食を─競売人が明かす美とお金の物語
フィルムアート社
2016-12-22
フィリップ・フック

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というこちらの本は、二大競売会社のクリスティーズにかつて勤め、現在サザビーズでディレクター(と競売人)を務めるという著者による、美術にまつわる様々な話題をA‐Zで並べた本

もっとも本書のなかでも述べられているとおり、美術館のキュレーターなどのアカデミックな人たちと美術市場で働く人たちの間には溝があるということで、同じ美術を扱った本でもこの本は長年美術市場に関わってきた著者が美術市場という観点から項目を取り上げているという点が面白い。同じ著者による『印象派はこうして世界を征服した』よりちょっと軽く読める感じ。
たとえば有名な画家や美術用語、主題など広範な話題を取り上げているのだが、美術品市場での人気や、同じテーマでもどこで価格が変わってくるかといった切り口で述べていたりする。またいかにもイギリス人らしく皮肉やブラックなユーモアも織り交ぜた語り口で、第一次大戦を生き延びた画家たちについて、その後ぱっとしなくなった人もいることから、いっそ大戦で死んでいてくれた方が価値も上がったとか言ってみたり、円熟というのは高齢になって衰えた画家の作品を指す言葉だと言ってみたり

またクリスティーズとサザビーズの両方に勤めた著者の目から見て、この二大競売会社の違いについて語っている部分も面白い。それからずばり美術品の市場価値や投資目的での購入について触れているのだが、そこで、やっぱり話題に出るよな、バブル期の日本の美術品購入。それが財テクやマネーロンダリングの手段として使われていたとか、あああ

ちなみにこの本、原書は


Breakfast At Sotheby's: An A-z Of The Art World
Particular Books
Philip Hook

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↑こういう表紙なんですよ。
それが邦訳だと印象派のルノワールになっているというのは、作中述べられていた、わかりやすくて人気のある印象派という言説を身をもって表しているというかですね。

と、内容は面白いのだが、ちょっと不満だったのは、ところどころ訳文が原文直訳調で読みにくかったこと。いや、用語とか、そういう部分はしっかりしていたと思うんですがね、文章の部分で、なんだろう、車で走っていたら突然がたごとと砂利道に入ったとか、大きな砂利を踏んだみたいな感じにひっかかって。それが残念。

というわけで、美術の世界を市場の視点からあれこれ取り上げて語ってみた本、内容は面白いのでおススメです。

今日はこのあたりで。

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