衝撃の。

アメリカの刑務所ビジネスの潜入ルポ。

アメリカン・プリズン 潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス - シェーン・バウアー, 満園 真木
アメリカン・プリズン 潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス - シェーン・バウアー, 満園 真木

というこちらの本。
日本でもコスト削減のためと称して公の事業の民営化や民間委託が進められていたりするのだが、アメリカでは服役囚のおよそ一割が民営刑務所に収容されているという。
その実態を探るべく、刑務所運営ビジネスをしている民間企業に刑務官として応募し、ルイジアナ州の州立の矯正センターに勤務した作者による驚きの潜入取材に、アメリカでの奴隷制に代わる強制労働という刑務所のルーツなどを付け加えて書かれたのが本書。数々の賞に輝き、オバマ前大統領もお気に入りの本の一つにあげ、さらにそのオバマ政権下で最初雑誌に掲載された潜入取材の部分を読んだ司法省から作者のもとにこの問題について聞かせてほしいと連絡が入り、その後連邦刑務所の民間委託が取りやめになったという(その後トランプ大統領の下で復活し、本書の刊行時点では最後に、やはりトランプ大統領の不法移民取り締まり強化に新たなビジネスチャンスを見出していると書かれている。うわあ)。

作者はかつて中東取材中にイランで刑務所に入れられた経験があり、そこからアメリカの刑務所の問題に関心を持ったということなのだが、カメラやレコーダーを隠しての潜入にもハラハラするが、それ以上にここで描かれている民営刑務所の実態がかなりひどい。
コスト削減ということで民営刑務所では囚人一人につき州や国から受け取る費用が公営刑務所より低く設定されている。ところが民営刑務所を運営しているのは企業だから、そこから利益をあげなければならない。そこでどうするかというと、徹底した設備や人件費の削減。作者の場合は週給が九ドルで、しかも刑務官の数も圧倒的に少ないので、作者はまず研修で囚人同士が喧嘩をしていても止めるのではなくやらせておけ、どっちかが片付いたなら手間が省けると言われる。完全にやる気なし。安い給料で武器さえ持たされていない状態ではそうなるしかないが。アメリカの刑務所というと、たとえばそこで行われた読書会についての本もいろいろ邦訳されていたりするが、この民営刑務所では人がいないから図書館も運動場も使えない。また暴力や性被害をはじめ、囚人を外部の病院に連れていくと医療費がかかるため放置されることもしょっちゅう。

しかも、そもそも経費削減をうたっていたのに、民営刑務所は思ったほど経費削減になっていなかったという。
けれどこういうビジネスが成り立つのは、作者が取材した刑務所の運営企業の設立者がかつて奴隷制が廃止された南部で代わりに囚人を使って綿花栽培のプランテーションを運営していたというところから、そもそもアメリカ植民地の創設当時から囚人を送り込んで強制労働をさせていたという、囚人(人間)を使って儲けるというのは歴史的にずっと行われてきたことだとしているのも考えさせられる。

という、アメリカ刑務所ビジネスの生々しい実態を描いたルポ。おススメです

今日はこのあたりで。





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