王道だけどひねりのきいたミステリ。

というこちら。

名探偵の密室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
名探偵の密室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

王道というのは「密室に閉じ込められた探偵役とその他の人々と死体、犯人はこのなかにいる」という、吹雪の密室・嵐の山荘ものといおうか、ミステリではおなじみの設定だから

本書の作者はこれがデビュー作のイギリス人だそうで、同じイギリスのアガサ・クリスティーを好きな作家にあげ、『オリエント急行殺人事件』にインスピレーションを得たということなので、なるほど。

しかし本書はその王道の設定を中心に据えながら、当然のことながらひねりをきかせてある
ミステリなのでネタバレしない程度にいくと、本書の主人公モーガン・シェパードはかつて11歳で当時通っていた学校の教師の殺人事件を解決して少年探偵として有名になり、現在はテレビの人気番組で不倫など視聴者から寄せられた相談やゴシップネタを「探偵」として「解決」しているという。
そんなシェパードが目を覚ますと、ホテルの一室のベッドに手錠でつながれ、部屋には見知らぬ5人の男女、バスルームには死体という状態で閉じ込められていた。しかもそこへ備え付けのテレビにマスクをかぶった男が登場して、3時間以内にこのなかにいる犯人を見つけ出さなければホテルごと爆破すると言う。

ところがこのシェパード、実は重度のアル中でヤク中で、今のところ仕事はなんとかうまくこなしているが、記憶が飛ぶこともしょっちゅう。「探偵」というのもテレビやネットのために作ったキャラのような感じ。それはアル中やヤク中やその他何らかのハンデ持ちの探偵というのもいるけど、このシェパードはそういうシリアス系ではなくどこか薄っぺらい。本当に犯人を見つけられるのかという。
一方互いに接点のなさそうな5人の男女もそれぞれに個性的で、ストーリーは主にシェパードの視点で進んでいくのだが、どの人物もそれぞれ見るからに非協力的だったり、何か隠しているように思えたり、怪しく思えたりしてくる。
果たして期限内に殺人犯を見つけることはできるのかというのと、もうひとつ、一体誰が何の目的で彼らをホテルに拉致・監禁しているのかという謎がじりじりと尽きていく時間という緊迫感のなかで並行して語られていく

という、いかにも王道な舞台でひねりをきかせた緊張感のあるミステリ。お約束のどんでん返しや驚愕の真相もあるよ。おススメです

というわけで今日はこのあたりで。

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