今出ているのが上巻だけなので。

どうしようかと思ったが、結局読んでしまった。


エニグマ アラン・チューリング伝 上
勁草書房
アンドルー ホッジス

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『エニグマ アラン・チューリング伝』。の上巻
ちなみに原書は


Alan Turing: The Enigma: The Book That Inspired the Film The Imitation Game
Vintage Books
Andrew Hodges

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こちら。これは映画『イミテーション・ゲーム』仕様の表紙の改訂版Bomb ですよBomb、実にそそられる(笑)
ちなみにこの本は↑この映画の原案というか、脚本がこの本を下敷きにしているらしいので、別に便乗でこの表紙になっているわけではない。
この原書がPBで768ページもあるのだから、邦訳が二分冊になるというのはわかるのだが、しかし発売時期が別々というのは。下巻は夏に刊行予定だそうだが。

とはいえこの本、映画『イミテーション・ゲーム』でにわかに注目を浴びてはいるが、実は原書が最初に刊行されたのは1983年と、30年以上前だったりする
多分その頃だとまだあまりチューリングの業績やブレッチリー・パークはそんなに注目されていなかったんじゃないかと思うし、明らかにされていなかったこともあったんじゃないかと思われるし、著者もその後改訂したり新しい情報を付け加えたりしていて、さらにこの映画化記念版で改稿したりしているようなので、いわばその決定版で邦訳を出した方がいいとは思うのだが。

ちなみに上巻の内容は(一応映画のネタバレにならないよう簡単にいくと)、チューリングの両親の出会いから始まり、チューリングの幼年期からパブリック・スクール時代、ケンブリッジに進んでプリンストンに留学後、本国に戻って政府暗号学校に加わって1942年まで。当時の時代や社会制度になじめなず、いわば周囲に模倣のゲームを続けるチューリングの姿や、数少ない友人や周囲の人々とどのような関係を築いていたのかを、作者はチューリングの書簡などをもとにして綿密に調べて描き出している。

また作者が数理物理学者ということで、チューリングの数学・論理学での業績やエニグマ解読についてかなりのページ数が割かれているという。ヒルベルトの決定問題に対して、証明可能性を決定する問題を扱える機械=チューリング機械(マシン)というアイデアで問題をどう解いたか、人間の心についてどう考えていたか、エニグマにどう挑んだか、などなど。
ちなみにチューリングがリーマン予想(素数の分布に関するもの)にちょっと足を突っ込んでいたというのは知っていたのだが(正確には素数の分布に関するゼータ関数がらみ)、そういえばこのリーマン予想や素数というのは、下手に関わると呪われるというか、いわくというか、ジンクスがあるとかないとか。『ビューティフル・マインド』のジョン・ナッシュしかり。チューリングはそんなに深みにはまるほど関わっていなかったとは思うのだが……う~ん。

とりあえず下巻の方がまだ出ていないのであれだが、上巻だけでもかなり内容が厚い。
チューリングの伝記もエニグマ関係の本も他に全くないわけではなく、邦訳の出ているものもあるのだが、この本はとにかくチューリングの思考過程や心の動きに迫ろうという要素が強いし、そのあたりが非常に綿密に描かれていると思う。映画はそのあたり、うまくまとめてあったと思う。
エニグマ(とBomb)に関しても、この本ではかなり錯綜しているので、映画はあれはあれでうまく整理してはあったと思う。史実的には色々おかしいことになってはいるのだが(あとBomb が1台しかないとか、スタッフの数が少なすぎるとかいう問題もあるのだが、それは予算の関係で)。

ともあれ、チューリングの伝記の決定版といえるかどうかはまだちょっとわからないのだが、チューリング関連で読んでおくべき本にはなると思う。映画で興味を持った方にも。ちょっと数学や論理学(や量子力学など)の部分が多いのだが。

ところで、このたびチューリングの手書きノートが見つかってオークションにかけられて落札されたというニュースがあったのだが、そこに新しい発見などが含まれていたりすると、この本もまた改訂されるのだろうか。落札者は今のところ不明なのだが。著者はチューリングの伝記サイトを運営しているらしいので。伝記の決定版になるかどうかわからないというのは、そういう新しい情報が今後もまだ出てくるんじゃないかということもあってですね。他に国防省や政府機関がまだ明らかにしていない情報があったりするんじゃないかとも思うし。

というわけで今日はこのあたりで。

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