回転猫目歴史儀英国製

アクセスカウンタ

zoom RSS うちの地方は。

<<   作成日時 : 2013/01/21 20:30   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

雪が降ったりアイスバーンだったりは冬の仕様なのでもう半ば慣れているというかあきらめているのだが、どうなんでしょう、今年の北半球の冬は例年より寒いんですかね? イギリスが今えらい寒波に襲われているらしいし、明日あたり関東方面もまた降るんじゃないかということだし。

というわけで(どういうわけで?)本日の読了本





モーリス・ルブランの未発表の最後の原稿が70年ぶりに刊行というので昨年話題になった本
いや〜、ルパンといえば、小学生くらいの頃にホームズと並んで私にとってミステリの入口になった本ですよ。まあそれは子供向けのやつ(多分ポプラ社のやつ)だったのだけど、でもルパンは後で文庫を読み返してもそれほどものすごくひどく違っていて驚いたということはないな。ホームズに比べると(笑)。いや、あれと比べたら、それはねえ(笑)。
まあとにかくそんなこんなで、私にとってルパンといえば(ホームズは別格として)長い付き合いで思い入れもあるので、ルブランの未発表作ときけばもはや義務形。とはいえさすがにフラ語では読めないわけなので、邦訳出してくれてありがとうございます、ハヤカワさん(笑)。

ちなみに訳者のあとがきによると、どうもこの原稿は昨年初めて見つかったというわけでもなく、一部の人々の間では存在は知られていたらしい。なのだが、当時ご存命だったルブランの息子が刊行を望まなかったからという理由らしい。ちなみにルブランはざっと大まかに一通り話を書いてから肉づけしたり推敲したりしていくすたいるだったらしいのだが、この原稿はその途中でまだどうも最終稿ではない段階らしく、その前にルブランが病に倒れたとかで、それもあるのかなあ、息子は『奇岩城』みたいな傑作じゃないからと刊行を渋っていたという話なのだが、『奇岩城』と比べたらいかんだろう(笑)。それが息子夫妻が亡くなり、孫娘があらためて原稿を発見して刊行にこぎつけたらしい。

物語はナポレオン戦争中、ルパンの先祖らしい将軍が密命である謎の書物を入手するというプロローグから始まるそこから一気に時代は飛んで1921年のパリが舞台。レルヌ大公が自殺し、美しい令嬢のコラが一人残される。彼女の周りには「四銃士」と呼ばれている、イギリスを旅した際に知り合った4人の男がいて、力になってくれていたのだが、大公は娘にあてた遺書の中でその4人の中にあのアルセーヌ・ルパンがいる、彼を見つけ出して頼りにするよう言い残していた。折しもコラの出生の秘密が明らかになり、イギリス王室の王子との縁談が持ち上がり、コラは国際的な陰謀の中に巻き込まれてしまうことになる。

一読して、うん、これはルパンだな、というのがまず感想
まあ最終稿ではないということなので、ちょっと展開が唐突だったり、まだ粗いところは目立ちますよでも美しい令嬢に恋心を抱きつつ敵から守るというあたりはルパンですねえ。それと並行して、パリ郊外の貧民街で私財をなげうって都市計画を進めていたり、子供たちの教育をしていたりという姿も描かれている。その子供たちがベイカー・ストリート・イレギュラーズか少年探偵団のようにルパンを助けて活躍するという。
ちなみに誰がルパンなのかというのは、かなり早い段階で明らかになっちゃいますというか、ルパンってどちらかというとあんまり正体隠す気ないですよね、目立ちたがりだから(笑)。舞台設定が第一次大戦後+ルパンは死んだことになっているらしいという言及もあるので、『813』とか『虎の牙』の後の話ということになるのかな。とするとある意味で別に正体がばれたって問題ないといえば問題ないのだが。

ちなみにあんまりストーリーには触れないようにしていきますが、イギリス王室がらみ(架空設定だけど)ということで、イギリス諜報部の人間が出てきたりするのだが、うん、第一次大戦後なら、これはMI6(の前身)だな(笑)。で、そのスパイに対してルパンが「わたしは紳士的な盗賊だが、きみの工作員たちは盗人みたいにふるまう紳士」と言ったりしているのだが、その通りですよそれが何か?(笑)。まあルパン(というかルブラン)ってフランス人だから愛国者でことあるごとにイギリスをけなしてますけどね。でも私は今はすっかりイギリス系だけど、だからこそこの言葉には同意(笑)何言ってるんですか今さらだなあ、イギリス人が二枚舌でスパイが天職なのは、指摘されるまでもなくわかりきった褒め言葉じゃないですか(笑)。そのおかげで来たる第二次大戦時にはパリを解放してもらえたんだから、むしろ感謝するがいいフランス人(笑)
まあそういうイギリス諜報部からスカウトされて断っているあたりは格好いいとは思うんですけどね。
それからそのイギリスがらみで、名前だけですが「シャーロック・ホームズ」が出てきていたけど、これ、邦訳ではホームズになっているけど、ルパンに出てくるホームズは本当は別人の「エルロック・ショルメス」だからな〜。ルブランが勝手に登場させたらドイルが怒ったとか何とかでそうなってるんですが、まあそうですよね〜、最初の方はともかく、回を追うごとにいくらルブランがフランス大好き・イギリス嫌いだったとしても扱いがひどくなりますもん(笑)。このショルメス氏はルパンシリーズの中の何作かに登場しているのだが、特に『奇岩城』のショルメス氏がホームズだとか言ったらエトルタの海岸にパンジャンドラム放りこみますよ(笑)というくらい別人だと思ってる(注・パンジャンドラム→イギリスの誇るトンデモ兵器。巨大なネズミ花火とでも)。
でも今回はイギリス人スパイがルパンについて警告されたという程度の言及で、そんなにひどい扱いでもなくてほっ(笑)。いや、ショルメス氏はホームズじゃないと思ってるんだけど、この邦訳ではホームズになってるんで。

あと、そもそもイギリスのスパイが登場する理由が、ひとつにはルパンの先祖がナポレオンから譲り受けたというある書物の存在のせいもあるというのだけど、内容は一応伏せておきますけど、でもこれ、第一次大戦後という時代にイギリスが必死こいて動くほどのものか? まあそのあたりは、まだ推敲不足ということなのかもしれないが、でもこれをどう膨らませる気だったにしろ、どうしてもイギリスを敵にしたかったのかな(笑)というかルブラン、いくらフランス人だからって、作中時間パリ講和会議後・執筆時時間第二次大戦直前の頃に、何でまたイギリスを目の敵に? 第二次大戦直前の時期と言ったら、むしろナチスの台頭でイギリス・フランスが結束してた頃だし、パリ講和会議後ならフランスが目の敵にしてたのはむしろドイツの方じゃないかと(それでドイツをいじめすぎたためにドイツがグレた)。よくわからん。

というツッコミどころはありますし、そりゃ『奇岩城』と比べたらいけませんぜというやつですが、でも普通にルパンものとして面白かったです。ラストも『813』みたいなことになってたらシリーズ最終作としてどうかなあと思ったのだが、そうじゃなく気持ちよく終わっていたし。というか、シリーズ最終作と言っておいて何ですが、時代設定的に行くとこれ、『カリオストロの復讐』より前の話になってしまうんじゃ? そうすると作中時間では『カリオストロ〜』が最終作になるのか? いや、何だかその後に実はもう1作あるらしいのだが。でもそうなると色々矛盾が出てくるような気がするし、何より『最後の恋』でシリーズをしめた方がきれいな終わり方だと思うし、私の中では『最後の恋』を最終作としておこう。ルブランだってそのつもりだったのだろうし。こっちの時代設定の1921年というのが実は間違いでもっと後の、例えば世界恐慌勃発後でしたということにしておけば、イギリスを目の敵にするというのもまあまだわかるし(笑)そうすると年齢がえらく合わなくなりそうだが、そこはまあ、ヒーローは年をとらないんだということにして(滅茶苦茶な理論だ(笑))

いやでも、実際ルパンって、ホームズに比べて汎用性がないというか、やっぱり第一次大戦前のベル・エポックの時代のキャラクターですよね。だから本当はあんまり第一次大戦を大幅に超えたり、第二次大戦に近づきすぎてしまうと多分もう無理といいますか。ホームズはパスティーシュで思いっきり時代をよそに移したりしてもわりと平気なんですけどねえ。BBCは現代だし。でもルパンで同じことをやれるかと言えばちょっと無理のような気がするし、だから私はホームズに関しては1854年生まれで今年159歳でまだまだ現役(笑)だと思っているのだが、ルパンは第一次大戦後でそっと引退したものだと思っている。以前は『カリオストロ〜』が最後だと思っていたが、これ以降はこの本を最後に救貧事業とか子供たちの教育やりながら引退していればいいと思う(まあ資金稼ぎに泥棒はやめられなさそうだが)。

というわけで今日はこのあたりで。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
うちの地方は。 回転猫目歴史儀英国製/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる